2006年03月04日
Nikasoup & Sayasauce/にかスープ&さやソース
▼ディスコグラフィ

イピヤー(2005) 管理人お気に入り度……★★★☆
コーラスワークの重ね録りを主体に、手持ちの楽器……ギター、ピアノ、フルート、手拍子からコップを倒す音まで……を総動員して作られた作品である。
おそらく最小限の加工に留められているためであろう……生の質感、息づきが、作品全体に感じられる。
個人的には、二階堂和美の発声が似ているせいもあり、どことなくBjorkの「Medulla」を連想する。
ただ「イピヤー」は、どこまでも手づくり感とイノセントに満ちあふれている。
デモテープ、もっと言えば即興の鼻歌で作られたような曲たち。
音程が外れたり、声がかすれたりしているところもある。
きっちりと作りこまれた音楽はもちろん、二階堂和美のライブ時の、迫力ある発声を期待する人には、違うものになっているかもしれない。
しかし、歌が生まれ出た瞬間そのもの、危うさもふくめて封入されているのは、本作の意図だろう。
タイトルにもなった「イピヤー」をはじめ、「セレモニアン」、「パンドゥマン」、「あーいえうー」、「ワフワフワフワフワフワフワウアー」など、記号・発声そのものを刻したような歌詞。
意味はわからないのに、聴く者のイメージを強烈に喚起し、物語を想像させる。
互いのWebサイト名同様、運命的出会いを果たした二人の歌声は解け合い、作品をほっこりと童謡のような優しい空気でつつんでいる。
しかし耳をすますせば、「生まれおちたか朝のモヤ」のように神秘的だったり、しっとりとした「流星のアンサー」、そこはかとなくエロスを感じる「イリヒヤン」、清らか且つおごそかな「あいえの歌」、「煙が目にしみる」など、豊潤な楽曲が19曲もそろう。
どこかなつかしく、同時に衝動を秘めた牧歌の世界。
子供がいれば、ぜひ聴かせたい。
▽その他、レビュー、試聴可能サイト
amazon.co.jp
hmv.co.jp
bounce.com
bounce.com2
faderbyheadz.com
▼ライブレビュー
・2006年3月4日@浅草花やしき
童話のような作品の具現化を願って--。
(業界初?)浅草花やしきを借りて行われた、にかスープ&さやソースのライブ。
二人は客席頭上を、アトラクションの乗り物に乗って登場した。
マイクが彼女たちのささやきを拾っていき、それがスピーカーから流れてくる。
乗り物が通りすぎ、姿が見えなくなっても、声だけは聴こえ続けるので、とても不思議な感じ。
しばらくすると、客席の両サイドから、ふたたび二人が現れる。
はじめは、互いの位置が確認できていなかったようで、若干、不安げな様子も見られたり。
そういった調子で、にかさやの公演は終始、危うさと不思議さにとり巻かれたような感覚に満ちていた。
即興のアカペラ、ハミングやコーラスを主体としたライブ。
あるいは、普段からかけ合っているという、二人の鼻歌をそのまま持ちこんだステージ。
アルバム「イピヤー」を聴けば、そういうパフォーマンスになるだろうということは、予想できる。
が、もう少しストーリー性が伝わってきたなら、客も入り込みやすいのではないか、という気がした。
衣装チェンジもあったし、それならもっと物語性も明確にしたほうが、「誰にも伝わるわかりやすさ」は得られたような気がする。
歌モノでないとつらい人には、けっこう厳しかったかもしれない。
(個人的には、絵や映像などの演出もあったら……とも思った。
ただ、後日思い返すと、音以外の装飾を入れるのもナンだなあ、という気も。
こういう、ある意味、実験性のある音楽だと、ストーリーという枠にはめるのも、一概に良いとは言いきれないだろうし。)
暦のうえでは、すでに春。
とはいえ当日、夜の野外会場は、かなり冷え込んだ。
(ユニット名にちなんだスープも配られた)
悪条件の気候も、客のライブへの集中を削ぐ一因になっていた。
段取りの悪い部分も見られた。
衣装を用意し忘れて、裏にあわてて引き返したり。
スタッフから「セッション巻きで」という指示を書いた紙がまわったり……。
普段はソロ、ユニットで、それぞれ別の活動をしており、おそらく準備にも十分、時間は費やせなかっただろう。
バンドサポートには植野隆司(テニスコーツ)、半野田拓、トクマルシューゴらも参加していたが、アンサンブルがちぐはぐで、多少つらいときも正直あった。
わりと、ぶっつけ本番の部分もあったのではないだろうか。
しかし、薄着で時おり、かじかんだ手をさすりながら、
「寒いね」
「でもがんばろうね」
と、小声でかけあっているニカさんとさやさんの姿は、とてもいじらしく。
だんだん応援したくなってくる。
ニカさんのヴォーカリゼーションは、相変わらずすばらしかった。
今回はコーラスが多かったけれど、彼女のブレぬ芯は、逆に歌詞のない発声において、よく伝わってくる。
天性のものもあるだろう。
が、多様な形で積み重ねつづけているキャリアこそが、もっとも固い土台となっているのだと思う。
しっかりと磨かれた彼女の下地が、今回のライブを支えていた部分は大きかった。
おもちゃのピアノにフルート、木琴やタンバリン。
曲によって、使われる楽器もくるくると変化。
手作りの着ぐるみをかぶった踊り子さんも登場し、時が進むにつれステージは次第に、ファンタジーの世界観を増していった。
リズムに身をまかせ、内からこぼれる感覚のままに、ステップをくりかえす二人。
比例するように、はじめはおとなしかった観客の拍手も、次第に熱がこもっていった。
ラストは客席に、彩りの飾りがいっせいにまき散らされて。
ステージの屋上から、笑顔のふたりが手をふりながら登場。
にかスープ&さやソース@花やしきの物語は、大きな歓声のうちに、大団円を終えたのであった。
ハプニング要素が多く、見ている方にも若干の戸惑いが感じられたライブ。
終わってみれば、迷いこんだ森の中でひととき、妖精たちと過ごしたような、夢のような初春の宵の出来事だった。
無事に終えられてよかった……そんな安堵の面持ちで、植野氏とトクマル氏が固い握手を交わしていたのが、なんだかほほえましかった。
各々の活動自体も注目を帯び、今後も不定期が予想される、にかスープ&さやソースの活動。
それでもまた時折、童心で帰ってこれるような場所として、にかさやの動向に注目していきたい。
投稿者 sakyo : 2006年03月04日 12:55
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