2005年05月15日
Mirah/ミラ
▼メモ
1974年ペンシルバニア州、フィラデルフィア生まれ。
フル・ネームはMirah Yom Tov Zeitlyn.
3歳のときに、オリンピアへ移住。
オリンピアの有名インディー・レーベル、K Recordsに所属。
同じくKを代表するバンド、Microphonesの準メンバーでもある。
Phil Elvrum(Microphones / Mount Eerie)との共同プロデュースにより、2005年現在までに、3枚のオリジナル・ソロアルバムをリリース。
キュートな歌声をフォークギターにのせて歌う。
というと、よくある癒し系アコースティックかと思いきや、宅録っ子らしい、個性的かつチープなリズムを持ち込んだ、打ち込みとストリングス、サンバからジャズ、カレッジ・フォークを自然に消化させたサウンドで、ドリーミーな世界を展開させる。
オリンピアが生んだ、2000年代最高の女性シンガーソングライターと称されることも。
▼ディスコグラフィ
You Think It's Like This But Really It's Like This(2000)
Advisory Committee(2001)
C'mon Miracle(2004)
▼ライブ レビュー
・2005/5/21 @渋谷O-NEST
「Mirah + Tara Jane O'neil Japan Tour 2005 w/二階堂和美」
大好きな女性アーティスト3人がそろってのライブ。
今回は一番前ど真ん中という、とても恵まれた位置で、楽しむことができた。
トップバッターは二階堂和美。
髪の毛をショートにして、さらにかわいらしくなっていた。
いつものように、エヘヘ……という、あどけない感じであいさつをしてから、ギターを鳴らしはじめる。
一弦をはじいたとたん、音世界へ入りこんでいく姿も、いつもどおり。
先日、行ったライブのときは、体調が悪かったらしく、一曲演りおえるごとに水を飲み、客にティッシュをもらって、しょっちゅう鼻をかんでいた状態だったのだけど、この日のニカさんは絶好調だった。
伸縮自在の声。
ラッパ、犬、赤ん坊からしわがれた老婆、艶やかな女性……とさまざまなイメージを彷彿とさせながら、くるくると変化する魔法の声。
それは測定すれば、おそらく超α波にあふれていたであろう。
Bjorkにも似た響き。
そして、音楽にどこまでも愛しまれた、無垢な子供の歌声でもあった。
一曲だけ、ニカさんいわく「何語でもない歌」という新曲を演った。
今までの彼女にはなかった、イスラム系だか中南米だか(ぜんぜん違う……)の民族の音楽を彷彿させつつ、オルタナチックな熱を持ったコード。
現在、にかスープ&さやソース名義で作品制作に入っているらしいが、これまた新作が楽しみになった。
次はMirah.
はじめ、ステージセッティングにサポートメンバーと出てきたときは、あまりに普通のお姉さんだったので、本人とわからなかった。
ギターを弾き始めてから、Mirahその人だと気づく、アホな私。
……だって、アー写よりぜんぜんかわいいんだもの!
マイクの前にじっと立って、キュートな歌声をつぶやくように、ぽろぽろとこぼしていく。
一音一音、確かめていくように歌う。
派手なパフォーマンスはなく、どちらかと言えば抑揚がないので、地味な印象。
スローテンポで、なぞるように爪弾く弦を、こちらもかみしめるように見守る、ならぬ聴き守る。
アルバムのような、変な(?)音の組み合わせや鳴らし方を期待してしまう私などは、はじめ、サポートメンバーとふたりきりの編成では、少々さびしいなー、と感じた。
以前見たライブ映像では、アコーディオンやチェロらしき楽器も見受けられた。
単独ライブのフルバンド編成の方が、最大限にMirahの音楽の長所が引き出されそうな気がする……と思ったりもした。
(でもやはり、シンプル編成バージョンも、しっとりとしていていいのだが……)
Mirahの歌とギターで、会場はほんのりとあたたかい空気につつまれていった。
そこへ突如、吹き抜ける一塵のつめたくも美しい風。
Tara女史がいきなり登場。
ゲストとしてメンバーに加わり、エッジのたったギターをかき鳴らし「Look Up!」を共演しはじめる。
ほのぼのとしたぬくもりの伝わってくるMirahと、クールなたたずまいの中にも荒々しさを秘めたTara.
二人の音がまじりあったステージには、不思議な磁場が生まれたようだった。
しかもTaraは客に背を向けたまま、いっさい顔を見せず。
一曲演り終えると、すぐにステージを降りていった。
まさに、風のごとし。
それだけに、きわだってかっこいい印象が、胸に残る。
それからは、日本人のサポートメンバーが曲ごとに加わっていき、ピアニカ、フルートなども入って、四重奏の演奏会のような雰囲気に。
最後は日本人男性が恥ずかしそうにリードボーカルをとっての「とうりゃんせ」が披露される。
それがまたかわいらしく、Mirahのライブをほんわかとしめくくってくれた。
ちなみに、ステージそでの様子も見渡せたのだが、二階堂和美がMirahの音に聴きいっている姿があった。
(途中からはさやソースこと、テニスコーツのさやさんも一緒だった)
MirahがMCで「Nika is beartiful」と言ったとき、パアァ〜ッと顔を輝かせていたのが、印象的だった。
トリのTara.
Mirahと同じく、ステージセッティングの段階から登場。
中央に置かれたキーボードをぶっきらぼうに叩きながら、サポートメンバーと何か話している。
目の前で見たTaraは、写真どおりモデルのような美貌だった。
細い輪郭と長い前髪。
秋の陽だまりのような、やわらかさとはかなさをただよわせつつも、どこか距離感を感じさせる。
使用ギターにはピンクの猫のドローイング。
もちろん、絵の才能も発揮しているTara本人が描いたものだろう。
そして、足元には妙に多い、エフェクターの数々。
静謐なライブのイメージを勝手に描いていたので、これらを使って、どうやってアルバムの音を再現するんだろう……と思ってしまう。
はたして、Tara Jane O'neilのライブは、予想外に鋭利で、エレクトロニックなものだった。
浮遊感のある電子音で幕を開け、静かにギターを弾きはじめるTara。
が、やけにノイジー……と思ったら、ギターの弦をハーモニカでギリギリとこすって、音を出している!
エフェクターでハウらせた音をループさせ、即興でリズムを作り出していく。
ギュイギュイとさまざまな音がねじりこまれ、しかし美しく軋みたてる。
アルバムもポストロックな音色だが、ライブではエッジがさらに強められ、時にうねりをあげるそれは、グランジに近いものすら感じられた。
この日、どうやら機材トラブルがあり、Tara女史はかるく(?)機嫌が悪かったらしい。
その反動か、パフォーマンスのキレぶりはすごかった。
「ウララー!」と声をあげたり、ギターのボディをドコドコと叩いてリズムをつくり、時にキーボード奏者にいきなりわって入って、自らタッピングする。
ときおり、ペットボトルの水を口にするたび、キャップを閉めるとそのまま無造作に、ゴットンゴットンとステージに放り投げる。
ひとつひとつの動作が、荒々しい。
そんなTaraのライブは、ラップトップミュージックのような、即興性にあふれた音のコラージュとも言えた。
しかし、つむぎだされる旋律そのものは憂いを帯びていて、それに彼女のやわらかい歌声がのせられると、はかなくも美しい、氷の結晶に抱かれたような心地になった。
ラストではなんとカラオケ(!)を披露。
ドラムのシンバルを、マイクでガッシャンガッシャンと叩きつけながら、男性メンバーとふざけながらも悦に入った様子で(一緒に行った人によれば「なげやりに」!?)、ミラーボールの下で熱唱していた。
3人の女性ミュージシャンそれぞれが、自分のカラーを見事発揮してくれたライブ。
まさに、三者三様。
それていて、通して聴いても違和感なく、彼女たちのかき鳴らし、放出した音の余韻がほどよくまざりあって、ライブ終了後の空間に残ったような感じだった。
彼女たちそれぞれの単独ライブにも、また行きたい。
そして、こんなすてきな組み合わせの、女性アーティストの共演ライブを、ぜひまた企画してほしい。
そう強く思った夜であった。
▼ネクスト・アーティスト
Tara Jane O'Neil
Jewel
Shawn Colvin
二階堂和美
Janet Klein
川本真琴
投稿者 sakyo : 2005年05月15日 22:09
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