2005年02月20日
Courtney Love/コートニー ラブ
▼memo
1965年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
幼少時代はヒッピーかぶれの母親に連れられ、ニュージーランドやオーストラリアなど、各地を変遷していた。
感化院に入れられたりと、非常に多感な思春期を過ごした彼女は、10代前半にロック・スターになることを決意。
費用を稼ぐため、ストリッパーとしてイギリス、アイルランド、台湾、そして日本などを放浪する。
(そのためか、Courtneyは親日家。原宿好きらしい……)
80年代にはThe Teardrop ExplodesのJulian Cope、Echo and The Bunnymenのメンバーらと交流し、Faith No Moreの前身バンドでマイクを握る。
アメリカのワシントン州オリンピアを中心に起きた、ライオット・ガール・ムーブメントの一端に関わりながら、Jennifer Finch(元L7、Other Star People)とKat Bjelland(Babes in Toylamd)らと結成したバンドSugar Baby Dollを経、1990年にバンドHoleを結成。
その後、NirvanaのKurt Cobainとの結婚や、Holeでの活動により、ロック・スターとして名をあげることに成功したCourtneyは、2002年のHole解散後、ソロのキャリアをスタートさせる。
2004年に初のソロアルバム「America's Sweetheart」リリース。
一方、女優活動にも野心的であり、1886年の「Sid and Nancy」の端役でデビューして後、1996年の「The People vs. Larry Flynt」でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたのを契機に、数々の映画にも出演を続けている。
▼discography 05/3/27追加。

America's Sweetheart(2004) ……管理人お気に入り度★★☆
威勢のいいギターリフとCourtneyのかけ声で幕開ける本作は、ときに消え入るような呟きをはさみつつ、全体的にストレートな、アメリカン・メジャー・ロックな楽曲が並ぶ。
Courtneyのつぶれたノドがしぼりだす叫びは、相変わらず迫力にあふれ、今や多くのアーティストから支持を受けるLinda Perry(元4NonBlonds)と共作したメロディも、ポップな中にねじれを練りこまれていて、ありきたりになる材料はないはずである。
が、どこか面白味に欠けるのは、あまりにストレートで王道的な音が、前面に出されているせいだろうか。
個人的には、サウンドはロックというより、パワーポップ集といった印象だ。
そういった点では、Courtneyが「パワーポップの逆襲!」とまくしたてた、Holeのラスト・アルバム「Celebrity Skin」の、延長上の作品といえるかもしれない。
「Sunset Strip」のように、かつての「Boys On The Radio」を想起させる美しいミディアム・ナンバーもあるし、ライオット・ガール上がりのノイズを感じさせる「Life Is Despite God」、「Smells Like Teen Spirit」のリフやガバ・ガバ・ヘイのかけ声、Eminem、Led Zeppelinの名も飛び出すなど、ロック・ネタがふんだんに仕込まれているのも、本作の特徴である。
Holeのアルバムの中で「Celebrity Skin」が一番好きだった人や、元気でストレートなロックン・ロールが好みな人には、すすめても悪くない作品だろう。
そういったサウンドにのせて歌われる世界は、どこまでも力強く、まぶしい。
が、一方で全編を通し、一貫して「せつなさ」を感じ取ってしまうのは、個人の偏った見方か。
それは、Hole時代に鳴らされていた、絶望や怒り、焦燥感とは違う。
かつて、「Boys On The Radio」で、消えゆくロックの男たちを歌ったCourtney.
今作の冒頭「Mono」では、「私が登場してすべてを解決する」と放つ。
「Boys On〜」後を生き抜いてきた彼女自身が、今では「ロック・スター」に他ならない。
「But Julian, I'm a Little Older Than You」で、The StrokesのJulian Casablancasを笑い飛ばし、「私を救ってくれるのはEminemなんかじゃない」「世界中のドラッグでもあたしを黙らせることはできない」「シャーラップ!」と叫びまくり、どんな音楽を作るか、ということよりも、とにかくロック・スターたるものを表現することを最優先しているのか、と思えるほど、今作ではロックのフレヴァーを随所に散りばめまくる。
この人はとことん、ロックの業とでもいったものにとりつかれているのだと思う。
そんなロック・スターの生き様を、もっとも描いていると思われる「Sunset Strip」では、次のような印象的な詞が歌われる。
「ロックスター、ポップスター、みんないつか死んでいく/明日のパーティーはすべて今日のくりかえし/私は知ってる、明日はこないことを」
Hole時代にも「私の今日は永遠」と歌った。
しかし、それがあくまでどこまでも他者から断絶した、個人の内面世界で帰結していたのに対し、今や誰からも認められるセレブリティの地位にいながら吐き出される彼女のつぶやきは、Miss Worldの境界を越えて、Sunset Stripの黄昏に象徴されるような、強い哀愁の内包を感じさせるのだ。
Courtneyは知っている。ハリウッドにやってきた女の子も、しょせんはズタズタの心で帰っていくことを。味わった栄光や名声、「だけどその中心に真実なんて存在しない」ことを。
「キレイな顔は名前以外の情報とともにヘッドライン化され」、「私もあんたもしょせんは見世物」に過ぎないことを。
Courtneyは今だ、時にすさまじく愛を乞いながら、「クールになんかなりたくない」「快楽にも飽きたの/周りは安っぽい人間ばかり/この嵐から救い出して/安心して寝られる場所へ連れて行って」と願う。
たとえスターになったとしても、ドレスは「Pretty On The Inside」の頃と変わらず、燃えつづけているのだ。
それでも、それらを知っている上で、Courtneyは歌う。
「きらめかせるの。輝かないとだめなの」
「私は変わらない。誰よりも強く、光の谷を進みながら」
単にエネルギッシュな、威勢のよさだけで終わらすことのできないものを感じるのは、以上のことがよぎってしまうからだろう。
もちろん、彼女自身の、残念ながら音楽的ブランクを重ねてきた挙句の、現在の年齢も、理由のひとつではある……。
ラストナンバー「Never Gonna Be The Same」の歌詞「無条件の愛を望むのなら/私の見た地獄の奥底を/黒い馬に乗ってあなたの目で見てきて」の箇所は、彼女の歩んできたこれまでの道のりを重ねると、強い真実味を帯びる。
そんなCourtneyの現在のリアルが、「America's Sweetheart」にはつめこまれていると思う。
余談だが、Courtneyのこだわっている(と思われる)「ロックスターたるもの」に、個人的には興味はない。
この数年のブランクの間、音楽とは離れたニュースで騒がれるたびにやきもきし、三年くらい、シーンに登場しなくていいから、山にでもこもっていい音楽を作ることに専念してくれないか、と思ったものだ(ムリだが)。
今ではギターすら弾けなくなったとされるCourtney.
だが、裁判所から出てきて語ったという「私がやりたいのはロックだけ」という言葉を、信じたい。
あと、秘蔵っ子(?)Emilie Autumnを含むらしきバック・バンドのThe Chelsea、演奏はチープだけど、今後が気になります……。
▼roots
・本当に孤独だった。変わった子だった。だけどそこで、あたしはパティ・スミスを知ったの。彼女はあたしの人生を救ってくれたわ。(「カート&コートニー リアル ワーズ」より)
投稿者 sakyo : 2005年02月20日 19:55
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