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2005年02月20日

Cihiro Onithuka/鬼束ちひろ

▼discography

Sugar High(2002) 管理人お気に入り度……★★★
清潔なピアノの旋律でつらぬかれたアルバムである。
バラード曲が多いが、4のような激しい曲でも、あくまでピアノ伴奏を主体とし、部分部分、オーケストラのように壮大な展開を見せる個所もあるが、けして過剰アレンジにはなっていない。
くりかえしても重苦しくなく、聴きやすい。
それでいて、しっかりと核をそなえ、おそらくこれまでで、もっともシンプルだが骨太な作品だろう。
聴きやすさは聞き流されやすさという危険もはらむが、聴く者にくさびを打ちこむのが、鬼束の天性の歌声であり、コアな詞世界である。
やわらかく、しなやかながら、ときにドスの利いた凄みを見せる声。
慈悲や憤怒、自虐と惰弱といった、さまざまな内面の揺れを表現しながら、ヒステリックに叫びちらしたりせず、統制をもってていねいに歌い上げている。
そして歌詞は、字面をこねまわし、耽美的な甘い感傷におぼれる多くの女性にありがちな詞と一線を画す。
観念・比喩的表現が多く、解釈に窮する面はあるが、よけいな説明をはぎ落とし、ありふれた言葉を用いながら、深い意味を想像させ、安息と警告をリアルな息づかいでつきつけることのできる、詩才。
さまざまなルーツと、どこかなつかしさをともなった音は、スタンダードな風味を持ち合わせる。
目新しさやエンターテインメントを追求するタイプではなさそうなので、その点、面白味に欠ける面も否めないが、激しくも慈愛あふれる彼女の世界に圧倒される人は、少なくないはずだ。

投稿者 sakyo : 2005年02月20日 19:37

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