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2005年02月20日

Alanis Morissette/アラニス モリセット

Alanis Morissette/アラニス モリセットの作品をチェックしてみる。


▼メモ
1974年、カナダのオタワ生まれ。
9歳から作曲をはじめ、TVの子役を務めるなど、早熟な少女スターとして自国で有名だったが、大人に囲まれたショービジネスの世界で、精神不安定状態となったのをきっかけに、自分を取り戻すべく、アイドルの地位を捨てて、単身ロサンゼルスへ移住した。
当時はニルヴァーナ、トーリ・エイモス、パール・ジャムらの音楽に影響を受けたという。
やがて良き理解者となるプロデューサー、グレン・バラードと出会い、マドンナのレーベル「マーヴェリック」と契約。
1995年、ワールドワイド・デビュー作「ジャグド・リトル・ピル」を発表。自分の体験や心情を、赤裸々に言葉にし、全身を振り絞って歌う、独特の歌唱スタイルが、多くの人々の共感を得るところとなった。
第38回グラミー賞で、最多4部門を独占。「ジャグド・リトル・ピル」は2800万枚のセールスを記録。90年代、もっとも売れたアルバムとなる。
当時「女性シンガーソングライター」ブームが各地で起こったが、彼女はその確固たる火付け役となったといえるだろう。
1998年、セカンドアルバム「サポーズド・フォーマー・インファチュエイション・ジャンキー」をリリース。
インドを旅した経験をもとに、あふれる言葉をインダストリアルなオリエンタルサウンドにのせた、新しい音楽性を確立。
1999年に「MTVアンプラグド」、2002年に「アンダー・ラグ・スウェプト」を発表。
映画、舞台などにも挑戦し、プライベートでは絵や写真、小説などもたしなんでいるようで、創造の枠をさらに広げている模様。
チャリティーや救済活動も積極的に行っており、国連友の会からグローバル・トレランス・アワードの受賞も受けている。
現在の音楽業界におけるアーティストの権利、レコード業界、ミュージシャンへのデジタルでのダウンロード問題についても積極的に意見を出しており、ネット上での自由な表現を求める様子がうかがえる。


▼ディスコグラフィ

jagged little pill(1996) 管理人お気に入り度……★★★★
Alanis本人が「あそこまで無防備になったのは初めて」という本作は、彼女の意識のみならず、無意識のレベルにまで触れ、のぞいたような感触がある。
シンプルなギターコードのループが多用されたサウンドと、神がかり的金属音にも似た、「独特」の一言では表せない声が相成り、彼女の内面へずんずんといざなう。
トランス状態で書かれるというメロディは、高揚と静謐をくり返しながら、様々に混ざりあった感情を、むきだしにしていく。
ポップな曲調だが、単にキャッチーなだけに終わらないダイナミズムをこの作品が獲得しえたのは、そうした、本来は見えない精神や潜在意識といったものまでもを、音できわめてダイレクトに表現できたことに、一因があるだろう。
ほとんどが一発録りという方法も、「感情が抑制されていると感じたものは全部排除した」という、今作における彼女の意図に、非常に有効に働いている。
歌われている内容は、周りの人々に対する率直なメッセージや、それまでの波乱に満ちた人生で得た、自己の哲学、信念、生き方といったもので、セクシャルな表現が多いことが、話題になった。
だが、個人的には、知的ユーモアに富んだ、彼女のフレーズのセンスにも注目したい。
「彼女って私の年上バージョンって感じよね/彼女も私みたいにイカレてるのかしら……彼女あなたの赤ん坊を生んだりするの?/きっとほんとうに素晴らしい母親になるでしょうよ」「あなたって食券みたいな味がする」「それはシャルドネのグラスに落ちた黒いハエみたいなもの」「あなたが上を歩いている卵の殻を掃除する人間にはなりたくない」……など、レトリックを多用しながら、けしておしつけがましくなく、シニカルな内容を伝える。この彼女の歌詞の部分にハマッたファンも多い。
このアルバムは90年代最高のセールスをあげ、それによってAlanisはゆるぎないアーティストの地位を築いた。


Supposed Former Infatuation Junkie
Supposed Former Infatuation Junkie 管理人オススメ度……★★☆


So-Called Chaos
So-Called Chaos 管理人オススメ度……★★★
本作は、彼女の特色であるオリエンタル・タッチと、弾むようなポップ感が、これまででもっともうまく融合した作品となったようだ。
今までフィーリングに任せっぱなしで、ややありきたりに感じられたメロディも、今作ではわりと練られており、曲の長さもトータル約40分と、非常に聴きやすくまとめられている。
個人的に、Alanisの声は在るだけで多様な感情表現に富んでいると思うので、重厚なセカンドの頃に比べればかなりましになったものの、まだアレンジは過剰だし、音数ももう少しシンプルになれば……と感じてしまう部分もある(この辺は好みの問題かも)。
また、激しい起伏に満ちたロックソングも少なく、バラエティにとんだ楽曲がそろったとは言いがたい。全体的に、やや単調でインパクトには欠けると思う。
が、キャッチーでキラメキあふれる今回のサウンドに、親しみやすい人も多いだろう。
歌詞の面は、同じフレーズの繰り返しや、逆説的なメッセージでより印象強く聴く者にうったえる手法などは、基本的にこれまでと変わらないものの、曲の長さ同様、非常にシンプルにわかりやすく書かれた。
何より、アーティストの精神的前進と成長は、本作でうかがい知ることのできる、うれしい点のひとつではないだろうか。
出だしの「Eight Easy Steps」から『捨てられるのが怖くてずっと言いなりになっている方法/自分で何とかなる状況なのに男に頼る方法/誰かを操って自分そっくりにする方法/チャンスを利用せずに逃してしまう方法/……これらすべてを8つの簡単なステップで教えてあげましょう』とたたみかけ、「Excuses」では『誰も助けてくれないのは私が鈍すぎるから 賢すぎるから/誰も私を理解してくれない/さびしい みんなが私を嫌ってる/……こういう言い訳って なんて役に立つのかしら』と、ブラックユーモアのような詞が並ぶ。
当然、Alanisの意図するところは、裏返しの部分であり、(多くは過去の彼女自身の姿であろう)それらの状況を、距離を置いて見ながら、時に笑い飛ばしているのだが、皮肉や自虐というよりは、『こういうことを白日の下に露わにすると その根拠が揺らいで 視野が鮮明になってくる(「Excuses」)』『(あなたを今まで恨んできたけれど)今つらい思いをしているのは誰?/……柔軟になってよく考え/放棄して解放されたい(「This Grudge」)』など、自分を冷静に見つめる視点が、随所にうかがわれる。
また、現在の彼女の、プライベートな恋愛状況と照らし合わせられると思える箇所も多々。
「あなたが素晴らしすぎるせいで、私の最高の部分さえ貧弱に見えちゃうじゃない」と恋人へのあられもないノロケを表した「Knees Of My Bees」や、今後をともに生きていく上での決意表明ともとれる「Out Is Through」、天邪鬼な態度しかとれず、本当の気持ちをどう伝えたらいいのかわからずにいる「Doth I Protest Too Much」、従属的な女性像を並べたあげく、最後には「私は自分を簡単に忘れたりしない」と恋人にきっぱり宣言する「Spineless」、そして自分のあらゆる面を受け入れてくれる存在へのラブ・ソング「Everything」。
これまで同様、セルフ・ポートレートともいえる彼女のアルバムだが、現在の姿がオーディエンスにもリアルタイムで伝わりやすく、より共感しやすい作品に仕上がったと言えるだろう。
歪みや変則的なチューンを好む人には、それほどおすすめできないポップアルバムかもしれない。
が現在、自分を見失いそうになっている人、自己嫌悪やネガティヴの溝にはまりこんでいる人には、常に自己分析を試みながら、着実に成熟を遂げ続けている彼女のメッセージに、一度触れてみて欲しいと思う。


▼pv
・「Hands Clean」
Alanisの演じるAlanis Morissetteストーリー、といったプロモ。主人公=Alanis(たぶん)の、曲を作る動機から過程、結果が、そのまま描かれている。
曲の内容通り、過去に因縁のあったらしき男性と再会、その想いを曲にし、CDとしてプレスされ、プロモーションも行い、ライブで声高に歌い、やがて多くの人々にも浸透していき……けれど、また男性と再会すれば気づく、なお消化されずに残っている想い。一連の過程を経ても結局「戻って」きてしまう、メビウスの輪のような人生のシステム。最後、その皮肉に洩らす、Alanisの自嘲のような表情が印象的だ。
自虐的?と深読みしたくなる内容だが、けっして重くはなく、小道具を使ってかわいらしく、ユーモアに見せている。


▼リンク
alanismorissette.com
maverick.com
WARNER MUSIC JAPAN


▼ネットフィーチャー
hotexpress.co.jp
「So-Called Chaos Japan Tour2004」9/27@東京国際フォーラムのライブ・レビュー。
mtv.com
映像、ニュース、特集記事等。
excite.co.jp
「So-Called Chaos」リリース時のインタビュー。かなり詳細。
bounce.com
「So-Called Chaos」リリース時のインタビュー。
nme.com
BBCRadio2


▼ルーツ
・私、Jeff Buckleyが好きなの。あと、自分を表現することをあまり意識していないアーティストが好き。Bjorkとか。彼らのスタイルを真似しようとはあんまり思ってないんだけど、結果的には、自意識過剰にならないっていう、彼らの特徴には似てきてるかもしれない。スタジオのヴォーカルブースにいるときは、自分がどうしていてどう歌っているかなんて、まったく考えていないわ。自分自身を表現することこそが、大事なんだもの。(barks.co.jpより。)


▼過去ニュース
▽2005
・GAP限定コンピレーションCD 10/1
AlanisやJoss Stone、Michelle Williams、Michelle Branchらが参加したGAP限定コンピレーションCDが9月初頭より、各店頭で配布開始となっていますが、MTVのサイトにて、CMのディレクターズカット版の動画と、日本語訳が見れるようになっています。
AlanisのFavoriteについてしゃべる姿や、パフォーマンスなども、ちょこちょこ見れます。
まだ見ていない方は、ごらんあれ。


mtvjapan.com


・ベスト盤「The Collection」のリリース決定。9/16
11/8、Alanis初のベスト盤となる「The Collection」のリリースが決定しました。
CD Jarnalには収録曲の一部が発表されていますが、新曲も入る予定だそうです。
ヒット曲中心の選曲、ということで、やはり「Jagged Little Pill」からの曲が多く入りそうです。
Alanisはその時々の自分を表現することに力を入れている、という気がするので、いいとこ取りみたいなベスト盤は、従来のファンにとっては新曲がなければ、ちょっと魅力が薄い、気もします。
ボーナストラック入り日本盤も予定されていましたが、中止になったそうです……。
どうせなら、B-side集か、「Jagged〜」以外の曲中心のライブ盤がいい、個人的には。
でも新曲は、気になるよー。


・「Jagged Little Pill Acoustic」日本盤リリース決定。6/28
「Jagged Little Pill」リリースから10年を記念して、全曲をアコースティックで再録した、「Jagged Little Pill Acoustic」。
アメリカのスターバックス限定ですでにリリースされている今作が、日本盤でも7/27にリリース決定です。
あれから10年なんて、ほんと信じられない。
どれだけ多くのことを、彼女の音楽から学び、励まされてきたか。
新たにレコーディングされた声を聴きながら、確認したいです。

amazon.co.jp


・ワーナーにてAlanisデビュー秘話公開。
ワーナーミュージックジャパンのサイトにて、「Jagged Little Pill Acoustic」をリリースしたAlanisにちなみ、彼女のデビュー時のエピソードが公開されています。
当時、傷ついていたAlanisが単身、LAに出てきたときの決意や、Maverick Recordsの社長Freddy DeMannが、彼女のデモ・テープを聴いて「新しい時代のBob Dylan」と評し、契約を即決したことなどが掲載されています。


・北米アコースティック・ツアー決定。4/25
衝撃のデビュー作「Jagged Little Pill」から10年経った(!!)ことを記念して、6月にアコースティック盤をリリースすることが決定しているAlanisの、北米アコースティック・ツアーが決定しました。
今のところ、それ以外の地域でのツアーは発表されていません。
重厚なアレンジより、シンプルな弾き語りを望む声も多かった彼女のライブとアルバム。
アンプラグドで聴きたいです!
でも、普段のライブでも1stの曲が多めなのは、個人的にはあまり好きくないのですが……どうでしょう。

barks.jp

投稿者 sakyo : 2005年02月20日 20:16

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