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2010/04/30
安酒
■2008/11/28
会社。
相変わらず皆、契約や転職のことについて話してばかりいる。
もう目の前の業務を真面目にやってる人はいない。
苛立たしい。
自分の中でもいろいろと揺れている。
悔しい。
でも仕方ない。
声を出すべき。
言わないのが大人。
皆は先生(しぇんしぇい)が社内で分けてもらってきた、その場しのぎの仕事をやっている。
自分は皆とは別に、自主的な作業をやっている。
これまでやってきた業務の手順やノウハウをまとめた、マニュアル作り。
ここに残ることが出来ないなら、せめて今の自分がの持っているモノを、グリーン氏や大泉さんに残したい。
残りの一ヶ月は、そのために使う。
そう決めてやり始めた。
先生には直接言ってないけど。
彼も察しているのか、何も言って来ないので、黙々と進めている。
大泉さん、グリーン氏がミーティングにやって来る。
クライアントの会社から基本的に禁じられているので、二人揃ってやって来るのは久しぶり。
珍しい……と思ったら、元上司まで突然現れた。
そしていきなり
「申し訳ない」
と深々と皆の前で頭を下げた。
今回、チーム全員が切られることに対して、彼なりに責任を感じているということか……。
いつも自信と豪快さにあふれていた上司のそんな姿は痛々しくて、見るのは辛かった。
ただ正直、「今さら……」という感も否めなかった。
こんな間際じゃなくて、異動になったあの時……なんで自分の口で、挨拶のひとつも言ってくれなかったのか。
なんで黙って来なくなったのか。
この半年以上、そのことがずっと心につかえていた。
いくらでも時間はあったのに……。
今回のお詫びなんかいらないから、済んでいないあの時の一言を、自分は聞きたかった……。
他の皆も、この人に頭下げられても……というような、奇妙で微妙な雰囲気。
銀ちゃんにいたっては、かなりシラけた冷たい表情をして彼を見ていた。
しかもさらに問題は起こった。
お疲れ会のことを聞いた上司、
「じゃ、俺が○日空いてるからその日にやろう!」
とあっという間に自分都合で、日取りを決めてしまった。
皆、あ然……。
とてもこの上司らしい行動ではあるが、この時期のこんな状況のこんな空気の中でのそのやり方。
「は? 何でこの人が入ってくるの?」
「何であんたの都合で決めるの?うちらのお疲れ会じゃないの?」
誰もが口には出さなかったが、決定的に皆が上司にあきれてしまった瞬間……。
個人的にはあきれよりも、皆の神経を逆なでするような事態にオロオロしてしまったが。
あーあ……。
定時後、上司と少し話す。
クライアントである元会社は、うちの業務だけでなく社内の派遣社員も全員切ったりと、相当深刻な不況のダメージを受けているらしい。
ポツポツ長々と彼は説明してくれたが、久しぶりに会って話す会話がそんな内容。
お互いなんだか気まずいような、変な空気だった。
とにかく、いよいよ本当に駄目なんだなという打撃を、実感するばかり……。
青龍さんとグリーン氏が飲むらしく、誘われたので行くことにした。
ムシャクシャしていたので、ちょうどいい。
大泉さんも上司の長話に捕まってしまっていたが、途中で振り切って合流してきた。
リーダー4人、近くの白木屋で安酒をさんざん飲んだ。
こうやって4人で飲むことも、もう出来なくなる日が近づいている。
2010/04/23
否認と見直しの季節
■2008/11/26
会社。
もっぱらの話題は、次の仕事や契約のことばかり。
もう割り切っているのか、皆、わりと気楽な様子。
楽しそうにしゃべっている。
自分は、仕方ないし納得しなきゃという部分と、勝手にチーム解散や契約解除を決められたことに対する怒り、将来への不安感がずっとせめぎあっている。
それでも己を抑圧するしか対処がない状況に、かなり情緒不安定が続いてしまっている。
頭が痛い。
でも一番つらいのは、大事の前にはまず先生(しぇんしぇい)から事前に打ち明けられると思っていたのが、今回見事に裏切られたこと。
頼りにされてる、認められてると思っていた自信が、根本から折られた。
周りの人も当然のように「先に打ち明けられてたんでしょ?」とか訊いてくる。
否定する都度に、強い悲しみがこみあげてくる。
前の会社の上司に認められなかった記憶も、かぶさってくる。
今回の件でただ一人、青龍さんだけは契約中途で切られることに納得していない。
ただ一人表立って、先生に抵抗している。
銀ちゃんは、
「言ってもしょうがないこと。口に出すべきじゃないよね。それが大人なのにね」
って、青龍さんを非難する。
でも自分はむしろ彼寄りの意見……。
同じ立場の者として、青龍さんの気持ちに激しく同調できる。
これだけ任され、頼られ、割り振られておいて、土壇場で無視された。
都合の良いように利用されていただけ、という思いが強まってしまうのはわかる……。
そういう点では、自分も大人になれない……。
あくまで皆平等扱いという趣旨、切る方の先生の方が辛いだろうな、ということは頭では分かってる。
でもすぐに「認められなかった」という負の感情ですぐにいっぱいになって、足掻いてしまう。
銀ちゃんのいうところの「大人」じゃないな……。
夜、久々にネットの求人サイトや、職歴を残してる場所を振り返る。
やっぱり求人状況は、以前の4割ほどに落ち込んでいる。
厳しいなあ……。
己の職歴を振り返っていたら、つくづく興味もゆかりもないものを渡り歩いてきたんだなあと思う。
しかし仕事としてしたいことは、当時も今も何もない。
相当やりたくないことにさえ当たらなければ、別に……。
そのスタンスの結果が、今こうして返って来てるわけだけど。
今回のことは、もしかすると自分のキャリアをちゃんと見直すいい時期なのかもしれない……。
2010/04/22
仕方がない混乱
■2008/11/25
午前中、営業と打合せ。
営業いわく、当初は自分や銀ちゃんはI社に残したい、という話も先生(しぇんしぇい)から出ていたとか。
でも最終的に、一部の人だけを残す選択は、先生には出来なかったらしい。
それは当然だし、しょうがないと思う。
しかし契約途中で解雇されることに対しての保障は、派遣先も元も持たない、という。
なんか自分が調べた情報と違う……。
改めて、己の社会的立場の弱さ加減を思い知る。
とにかく今のあなたは何が出来るのか、キャリアシートを書いてくれと言われる。
ただし、あまりこちらに仕事の斡旋を期待しないでくれ、とも。
してないけど……。
午後、先生と面接。
彼なりに、いろいろ決意を固めている模様。
彼自身、もう年明けから別の業務が決まってる、と聞かされる。
彼も会社の決定に従ってるだけだろうから、それも仕方ないんだろうが……。
万が一今の業務が再開した時は、彼一人でやっていくつもり、とも言っていた。
……なんかいろいろ早まっている気もするが。
しかし4月以降も、この仕事の派生の可能性を当てに出来るほどの希望はもう無いんだな、ということは強く実感させられた。
「引継ぎ」とか、「じゃんじゃん就活の面接に行け」とか彼の口から言われた時は、内心グサグサ傷ついた。
その前に言われてもいいだろう言葉は、一つもなかった。
「お疲れ会しよう」とも言われたが、慰労されたくもないし。
首切る側の自己満足のためだろ……。
適当に相槌を打ちつつ、当日バックレようかと考える。
長く働いていても、元上司も先生も、自分を認めてはくれなかったんだなあ。
午後は自分のキャリアの洗出しなどする。
暗い材料しか出て来なかった。
うぇぇ。
定時後、青龍さんからメールが来た。
彼は今回の決定に納得いってない模様。
それで先生との面接時に、本来の契約期間まで雇用しろと主張したらしい。
彼の文面を読んでいたら、自分も辞めさせられることに納得すべきではないのでは?という気がしてきた……。
比例して、時間が経つほどに先生への怒りも増大してきたり……。
先生もいろいろ悩んでいるんだろうし、これで持病の心の病がひどくならなきゃいいが……とは思いつつも。
とにかく、でも「前向きに」やっていかなければいけない……。
丸1日、頭痛。
帰って鏡を見たら、えらく虚ろな目をしてやつれた顔をしていた。
日本酒を飲んだら気持ちが悪くなり、飲みきれなかった。
仕方がない、仕方がないと己にいい聞かせるような気持ちと、やはり納得できない思いで、ずっと混乱している。
2010/04/14
熱燗
■2008/11/23
東京に戻る日。
ホテルをチェックアウト後、京都国立近代美術館へ。
ちょうどやっていた展示会「エモーショナル・ドローイング」を見る。
たくさんのアーティストの、作品になる前の素描や落書きに焦点を当てた展示で、まさに心揺れ始めた瞬間そのものを感じるものもあれば、均一的にしか見えないものもあった。
ホセ・レガスピという画家の絵に一番惹かれた。
どうしちゃったんだろう、この人、と思わず立ち止まって見てしまうものがあった。
美術館の近くに、以前行って良かった蕎麦屋があったのだけど、今回は満員で入れなかったので、京都駅へ戻って、構内のトンカツ屋で昼食。
15時頃のこだま(グリーン車)に乗って、東京に戻る。
家の近くの居酒屋で夕食。
京都で友だちと楽しく飲んだ熱燗が忘れられず、同居人とがっつり飲んだ。
熱燗の良さに目覚めつつある二人である。
2010/04/05
古都紀行
■2008/11/22
午前中、東寺へ行く。
たくさんの仏像を鑑賞。
ここの仏像にはたくさんの物語と解釈を想起させるものがあって、見て回るのは非常に面白かった。
火災で焼けただれた仏像の顔は、異形の凄みを増していて、感嘆。
境内は思った以上に広かったので、最後はけっこう歩き疲れた。
気候も良かったので散歩には良かったけど、その後同居人のご家族と会食の約束があり、結局時間ギリギリになってしまったので、あわてて向かう。
急いだので汗だくになり、化粧も崩れ、体調も悪化、最悪な状態でご対面。
店に着いてから、すぐにトイレにダッシュした。
大急ぎで化粧直しと建て直しを図るも、皆さんを待たせることになってしまい、あああ…。
しかし京都駅に隣接したホテルの鉄板焼き屋は、同居人一家がレコメンドするだけあって、さすが美味しかった。
それに同居人のお母さんから有りがたい言葉をいただいたりして、すごく嬉しかった。
窓際の眺望の良い席を予約してもらっていたので、お父さんも京都の町並みを指しながら、いろいろ話をしてくれた。
会食後は、同居人と二人で東福寺へ。
紅葉目当ての膨大な観光客の群れ。
最寄り駅も、寺までの道程もたくさんの人で賑わっていた。
寺に入ると、それらはさらにヒートアップ。
深い紅葉が美しい通天橋辺りは、立ち止まってゆっくり鑑賞することも出来なかった。
「今から行っても間に合いませんので、チケット買わないでください!」
警備員が必死に叫んでいた。
三条河原町辺りを散策したあと、ホテルに一度戻って休んでから、夜は現地で待ち合わせた友人たちと飲み。
かなり和んで盛り上がった。
白子とチャンジャと熱燗で、一夜を楽しく過ごすことができた。