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2008年01月22日

想いの珠

■2007/1/31
こちらが察していたとおり、アントアネット嬢の勤務が今日で終了。
日中はいつにもまして、豪速の処理能力を発揮していた。
定時間際には悲壮感さえ漂わせ…。


結局、最後まで本人の口から打ち明けてはくれなかった。
夕礼時、上司が彼女の退職を発表した時、一瞬の沈黙があり、それを呑み砕けないままに、メンバーの間に動揺と驚愕が沸き起こるのが感じられた。
知っていた自分は、どういう反応をしたらいいのか、わからなかった。


帰り際一人一人、各々アントアネット嬢に別れを告げていく。
自分も当然挨拶しないと…やはり一応知らなかったフリしないとダメだよな…などと思いながら、彼女の前に立つ。
すると、彼女がボロボロ泣いていたので、驚く。
そんな姿を会社で見せるのを、何より嫌っていた人だった。


いつも気丈で自分にも他人にも厳しい。
与えられた仕事はどんなことでも、100%以上の力で望む。
ブランドもので身を固め、腰まであるストレートヘアは常に完璧な梳き。
不眠症を抱えているらしく、体は丈夫でないらしいが、発熱していても他人に悟らせない。
精神的な落ち込みを絶対に言い訳にしない。
それが自分の知っている、アントアネット嬢。
でも今、目の前の女性は泣いていた。
職場で弱みを出すのを、あれだけ嫌っていた人が……。
自分もそれで泣いてしまった。
もっとちゃんと前から話してくれてたら…という、モヤモヤした思いは、どうしても残ってしまったけれど…。


去年の宮様といい、アントアネット嬢といい、職場の終わり方ひとつに、人間性が出る。
今回も仕事に感傷は持ち込まない、アントアネット嬢らしい決断ではあったわけだ。


たいした思慮なくやっている勤め人。
そんな自分のはずが、職場での別れにはいつも動揺し、うろたえてしまう。
帰り道の茜空は、今日も無駄に身にしみた。
心の整理がつかないまま、オフィス街を茫然と歩いた。


後日追記:
アントアネット嬢は、会社で自分のあだ名をつけてくれた、初めての人でもある。
どこの職場に行っても孤立するタイプの自分にとって、実はなかなかない出来事。
そんなことでも、でかい思い出として残っている。
以後これを書いている今日にいたるまで、自分は職場で、彼女がつけてくれた名前で呼ばれている。

投稿者 sakyo : 2008年01月22日 09:01

コメント

ロキさん>
うう、そうですね…。
ありがたいことに、書いた職場では、心に残っていく人との出会いが本当に多かったです。
そういうものが、自分の力になっていくんでしょうね。

投稿者 沙香 : 2008年01月23日 08:51

なんともいえず胸に染むエピソード。もちろんお会いしたこともないし恐らくこれからもその機会はないのでしょうが、そういう人が居たということが自分の中に残っていきそうな気がします。

投稿者 ロキ : 2008年01月22日 13:11

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